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北はりまのおうちでは、昔から「ちょっとしたご馳走」と言えば、具だくさんの巻き寿司でした。お客さんがあると、「ほな巻きずし、巻こか」。具材は家にあるもの。まずは大きな卵焼き。それから乾物。干し椎茸、かんぴょう、高野豆腐。あとは季節の野菜を適当に。そんな家庭の味が、今では「北はりまの名物B級グルメ」としてすっかり有名になりました。
「仕出し ふじた」の巻きずしは、西脇の巻きずしの中でも特にファンが多い逸品。取り出した瞬間、フワッと広がる焼き海苔のこうばしい香りにまず食欲を刺激されます。やや量をひかえてふんわり巻いたすし飯に、大きすぎない卵焼き・しいたけ・かんぴょう・高野豆腐・キュウリ。定番の具材を、奇をてらうことなく、ひとつひとつ丁寧に味を含ませ、バランスよく組み合わせた味わいは、まさに「播州巻きの王道」。
なかなか気づかれにくいことですが、ふじたさんのお料理はどれも、具材の扱いに老舗ならではの心遣いがあります。食べやすい大きさに切り揃えられ、しっかりした味付けながら、主張しすぎず他の具材の味を邪魔しません。そんな老舗の技も込められた北はりま伝統の味、ぜひ召し上がってください。